犬の皮膚には汗腺がないため、人のように汗をかいて体温を下げることができません。 その代わりに舌を出して「ハァハァ」と呼吸する「パンティング」で水分を蒸発させることで体温を下げています。
犬の皮膚には汗腺がないため、人のように汗をかいて体温を下げることができません。 その代わりに舌を出して「ハァハァ」と呼吸する「パンティング」で水分を蒸発させることで体温を下げています。
しかし、日本の夏は高温多湿。 パンティングではうまく体温を下げることができないばかりか体力を消耗してしまう犬が多く、世界的にみても「夏バテ」の多い国なのだとか。
夏バテの防止、解消には、パンティングで失われた水分の補給が必要不可欠。 ここでは夏場の水の重要性や、なかなか水を飲みたがらない犬のための「一工夫」をご紹介いたします。
基本的なことではありますが、いつでも好きなだけ飲めるよう、常に水を用意しておくことが重要です。 一緒にいられる場合は、水が汚れていたり減っていた場合すぐに補充してあげられるよう心がけましょう。
お留守番の場合、夏場は特に水がなくなってしまいがち。 水を入れる容器の数や場所を多くしたり、量を多めに入れるなど、水がなくなってしまわないようにすることが大切です。
この時、舐めると水が出てくる「吸水ボトルタイプ」の容器だと必要な水分量を摂取しにくく、飲み口に細菌が増殖しやすいため、通常のボウルタイプのものがおすすめです。 高温多湿の環境だと水が傷んでしまうのも早いため、自動給水器などを使って傷みにくくするのも良いでしょう。
また、蒸発して水がなくなってしまう、減ってしまうことについてあまり意識されていない方が多いようなのですが、水道水では残留塩素が濃縮され、有害な水となってしまう場合があります。 専門家の方の中には、湯船の残り湯をいつでも飲めるようにしておくことをおすすめしている方もいるようですが、やはり理想としては人に頼む、ペットホテルを利用するなどしていつでも新鮮な水が飲める環境を作ってあげるのがベストでしょう。
たとえ喉が乾いていても、犬自身がそのことに気づいていないケースは意外と多いもの。 人も同じようで、無理をしていることに気づかず熱中症になり、救急車を呼ばれるニュースがもはや夏の風物詩のようになっています。
愛犬の様子を気にかけつつ、時々水が減っているかどうか確認するのが良いでしょう。
犬が自分から水を飲みたがらない場合、牛乳がおすすめです。 ただし、牛乳で下痢をしてしまう犬もいるため、まずは水で2~3倍に薄めて少しずつ、問題なければそのまま与えるようにしましょう。 お腹にやさしい「ヤギミルク」もおすすめです。
犬の鼻に数滴ほど水をつけてあげると、ムズムズと気になるのか舌でペロリと鼻を舐めます。 いたずらみたいな方法ですが、そうすることで「そういえば喉乾いてたんだった!」と水に意識がいくため、水を飲むきっかけが作りにいかがでしょうか。
水分を豊富に含んだ夏野菜はミネラルウォーターの「無機ミネラル」とは違う「有機ミネラル」の宝庫。 体温を下げる効果も期待できるため、夏バテ対策にぴったりです。
ただし、食物繊維を摂り過ぎると下痢をしてしまったり、逆に便秘になってしまうことも。 また、お腹が冷えてしまわないようできるだけ常温のものを用意しましょう。
初めて食べる場合は一日一口程度の少量から様子を見て、少しずつ与えるようにしてくださいね。
約95%以上が水分で水分補給にぴったりなだけではなく、利尿作用もあることからまさに夏バテ対策のための野菜。 興奮を鎮めたり、心を落ち着かせる働きもあるのだとか。
ただし、食べ過ぎると食物繊維の働きで便が緩くなってしまうことも。 「サニーレタス」や「リーフレタス」は普通のレタスよりもさらに食物繊維が豊富なため、与える量にはご注意ください。
レタスに同じく約95%以上が水分で体温を下げる働きがあります。 低カロリーですが栄養素もそれほど含んでいないため、水の代わりとして気軽に与えられる野菜ではないでしょうか。
約94%程度が水分で、食物繊維も100グラムに1グラム程度しか含まれていないため、下痢などを気にすることなく与えられる野菜です。 ただし、熟していない青いトマトは「グリコアルカロイド(ソラニン)」という毒素を含むため、食中毒の危険性があります。
また、ヘタを食べてしまわないように注意しましょう。
約90%が水分といわれるスイカも犬におすすめの野菜。 ただし、スイカは中心にいくほど糖度が高くなるため摂り過ぎには注意してください。 種と皮は取り除いてからあげましょう。
ほんの少し風味がある程度の薄いスープでも、嗅覚の鋭い犬には十分魅力的。 ドライフードをふやかすのに使うのも効果が期待できます。
ただし、命にかかわるため、絶対に「玉ねぎ」や「長ねぎ」は入れないでください。
ドッグフードの水分量はおおまかに、
と言われています。 ウェットフードやお湯でふやかしたドライフードでも水分補給が可能です。
栄養過多となってしまうため、あくまで他の方法ではどうしても水を飲まずこのままでは脱水してしまう、もしくは脱水症状が出ているという場合の対処法ですが、3~5倍ほどの水で薄めた「ポカリスウェット」を与えるのもおすすめです。 夏バテ対策に効果的な塩分とブドウ糖を効率よく摂取できるため、動物病院でもよく紹介されている方法です。
犬は食べ物や飲み物を「匂い」で判別しているため、通常の水には見向きもしなかった犬でもポカリスウェットなら飲むことが多いそうです。
人用のポカリスウェットを与えるのが心配な場合は、
をよく混ぜ合わせることで無添加の特製スポーツドリンクも。 要冷蔵で賞味期限は3日ほどとなるので作り過ぎには注意してくださいね。
7月も残りわずか。 すでに暑い日が続いており、本格的な夏の到来も目前です。 脱水症状を起こしてしまうと最悪の場合、命の危険にさらされる場合もあります。 日頃から十分な水分摂取を心がけ、猛暑日「ザ・ドッグデイズ」を乗り越えましょう!