ほとんどの方は「選ぶ」ということもなく水道水を与えているのではないでしょうか。 もちろん「安全な水道水」は日本人の特権で間違いではありませんし、何の知識もなくミネラルウォーターを与えるほうが危険な場合さえあります。

ここでは普段意識されない「ペット用の飲み水の選び方」を少しだけご紹介させていただきます。

ミネラルウォーターの選び方

「ミネラル」とは、カルシウム、鉄、ナトリウム、マグネシウムなどのごく微量ながら人の身体の機能維持や調節に欠かすことのできない栄養素です。 しかしこれは「植物性ミネラル(有機ミネラル)」の話で、ミネラルウォーターに含まれる「鉱物性ミネラル(無機ミネラル)」については少し違います。

「鉱物性ミネラル」は人でもほとんど吸収できず、一説では「心臓病」や「関節炎」の一因となっているそうで、硬水中心の欧米諸国では日本より関節炎の人が多いそうです。

もちろん犬や猫にとってもミネラルは不純物でしかなく、腎臓に余計な負担をかけるばかりか、膀胱や尿道、腎臓などの結石に繋がる恐れがあります。

犬や猫の結石を引き起こすミネラル

ミネラルウォーターにおける「ミネラル」は主に「カルシウム」「マグネシウム」を指している場合がほとんどで、結石の原因となるのがまさにこの2つです。

シュウ酸カルシウム

ミネラルウォーターに含まれる「カルシウム」が体内で針状の結晶体となったもの。 「ストルバイト」と違いどのような液体にも溶けにくい性質を持ち、尿管に留まりやすい結石です。

ストルバイト

ミネラルウォーターに含まれる「マグネシウム」が体内でリン酸マグネシウムアンモニウムとなり、結晶体となったもの。 酸性通常の酸性尿によって溶かすことができますが、食事などにより尿がアルカリ性に偏った場合は溶けることなく尿管に留まってしまいます。

「カルシウム」も「マグネシウム」も摂取してすぐに結石となるわけではありませんが、過剰摂取は禁物。 さらに、すでに結石ができてしまった犬にはできるだけ与えたくないのが「ミネラル」です。

「ミネラル」を含まないミネラルウォーター

普段ミネラルウォーターを飲む方ならご存知だと思われますが、水には「硬度」があります。 これは水に含まれる「ミネラル」の量を指しており、世界保健機関「WHO」により「軟水」「中硬水」「硬水」と3種類に定められています。

分類 ミネラル保有量
軟水 0~60ml未満
中硬水 60~120ml
硬水 120ml以上

つまり、ミネラルを極力含まない「軟水」が理想的な「ミネラルウォーター」ということになります。

なら水道水は?

こんなに苦労して「ミネラル」を含むミネラルウォーターを与えなくても、最初からミネラルの入っていない水道水を与えればいい、と思う方もいるかも知れません。

実は、水道水にも「ミネラル」は含まれています。 各都道府県の水道局によって基準はまちまちですが、もっともミネラルが少ないのは愛知県の26.476ml。 そして、もっともミネラルを多く含むのが沖縄県の84.006ml。 「中硬水」に分類されるミネラル保有量です。

塩素によって消毒もされているため安全性はかなり高いですが、その「塩素」と塩素によってできる「トリハロメタン」の問題もあります。

つまり何を選べば?

もっとも理想的なのは、ミネラル保有量の少ないミネラルウォーターを選ぶこと。次点で水道水ということになります。

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