日本で年間どのくらいの犬が保護されているか、ご存知ですか? 環境省によると、2017年度に保護された犬は100,648頭。 そして、そのうち約1割の8,362頭は殺処分されています。
少しずつ殺処分される頭数は減っているそうですが、まだまだゼロには遠いのが現状です。
日本で年間どのくらいの犬が保護されているか、ご存知ですか? 環境省によると、2017年度に保護された犬は100,648頭。 そして、そのうち約1割の8,362頭は殺処分されています。
少しずつ殺処分される頭数は減っているそうですが、まだまだゼロには遠いのが現状です。
一方、基本的に殺処分がなく「犬天国」「ペット天国」と言われているのがペット先進国ドイツ。 その影には、通称「犬税」と呼ばれる税金制度の存在があります。
日本では市に登録するだけで犬を飼うことができますが、ドイツでは犬を飼うのに税金がかかるんです!
今回は、そんな犬税の仕組みやメリットについてご紹介します。
1810年から始まったドイツの犬税は、もともと貴族や富裕層が愛玩や狩猟を目的に犬を飼うケースに向けて、タバコやお酒と同じ贅沢税(富裕税)として導入されたのがはじまりとされています。
市町村によって税額は違いますが、ドイツのほとんどの自治体で導入されていて、犬の保有者は必ず地方自治体の税務当局に届け出なくてはいけません。
犬税として徴収された税金は必ずしも犬のためだけに使われるのではなく、一般財源として公道や公園整備などにも使われています。
ドイツ人にとっての犬税は消費税のような「あらゆるものにかかる税金」のように受け入れられていて、犬のためだけの税金ということ扱いではないそうです。
犬税は主に飼育頭数によって金額が変わります。 頭数が増えるほど税金が高くなる仕組みなので、安易な気持ちで多頭飼育に走ることを防ぐ働きを持っています。
さらに、闘犬指定種は税金が3倍かかります。 流行や物珍しさから飼う、という無責任な飼育を防ぐ効果もあります。
犬1匹にかかる税金は、日本円で約1~2万円程度。 2頭目は1頭目より、3頭目は2頭目よりもさらに金額が高くなっていきます。
また、檻に入れて飼育する場合はさらに檻の中の頭数によって課税されます。 ここでも檻での飼育を減らし、犬のストレスを減らす効果を生んでいます。
昔のドイツでは「犬の多頭飼育こそ富裕層のステータス」とされており、犬をたくさん飼う人が多かったそう。 犬税として徴収された税金の一部は犬や愛犬家に関わる費用、さらに、犬によって汚された街の清掃費用として使われています。 犬の頭数が増えることで衛生面や治安面に問題が生じたり、殺処分されることを懸念して犬税が導入された背景があるようです。
また、犬税があることで多頭飼いする人の増加や安易に犬を飼うことへの抑止力となり、犬の保護にも繋がっているといえます。 そのため、ドイツではむやみに犬を繁殖することはほとんどありません。
また、犬税の納税者には*犬が迷子になってもすぐに保護できるよう「犬の名札」が支給され、何かあってもすぐに飼い主が判明します。
やはりメリットがあるからこそ廃れることがないんだということが理解できますよね!
実は、日本にも犬税を採用していた時期があったんです!
遡ること江戸時代。 「犬将軍」として知られる徳川綱吉の時代に、犬が大切にされすぎたことで野犬が急増し、犬税が導入されたそうです。 野犬を収容する施設の運営費用として、住人に課せられていた税金です。
さらにその後、昭和の中頃にも約2,700の市町村で犬税が採用されていました。 この頃はドイツと同じように犬1頭につき課せられる税金だったそうです。
日本でも課せられていた犬税。 なぜ、現在は廃止されているのか気になりますよね。
1番の理由は、犬税の税収よりも徴収コストの方が高くなってしまい、導入を断念せざるをえないのだそうです。
ドイツでも税金を徴収するコストは課題になっています。 犬には戸籍があるわけではなく、どこで誰が何頭飼育しているのかを管理できないのが原因のようです。
ただ、ドイツには犬のための法律がかなり細かく定められています。
たとえば檻に犬を入れる場合は、犬に対しての広さが細かく決められていたり、6時間以上室内に閉じ込めてはいけないなどの犬への配慮が考えられています。 違反すると警察がやってきますし、違反に気づいた人は通報します。
一方、日本の法律では曖昧な部分も多いのが現状。 飼い主の判断にゆだねられる部分が多く、国をあげてしっかりと法整備されたドイツのようにはいかないようです。
ドイツでは、まず何をおいても犬の立場を尊重して物事を考えます。
犬の大きさに関わらず飼い主と一緒に地下鉄やバスに乗って出かけることができますし、人間の子供と同じ料金が必要なだけで、キャリーケースは必要ありません。 レストランでも犬同伴で入れるところが多々あります。
さらに、街のいたるところに犬のためのトイレやウンチを捨てるゴミ箱が設置され、ウンチを取るための紙まで用意されています。 日本では人間の都合を優先しがちですが、ドイツは犬を人と同じように尊重しているからこそ現在も犬税が採用されているようです。
日本にはあまり馴染みのない犬税についてご紹介しました。
ドイツにおける犬税のメリットや犬自身を尊重した法律など、日本でも取り入れて欲しい部分が多々ありましたね。 日本でも社会全体でペットを大切にできる文化が育てばいいなと願うばかりです。