犬の飲み水に水道水?

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ウォーターサーバーを厳選するサイトでいうのもなんですが、日本の水道水はかなり高い水準にあります。 市販の飲料水よりはるかに厳しい基準値をクリアし、いくつもの試験を繰り返して、世界中のデータをもとに安全性を高めています。

では、犬の飲料水としてはどうでしょうか。

やっぱり長期的な衛生面では一番

ミネラルウォーターなどと比較しても、衛生面で水道水にかなう水は早々ないといえます。 塩素によるものなので多少味や臭いで劣る部分はありますが、何より重視される衛生面が担保されるのは大きいのではないでしょうか。

また、ウォーターサーバーのようなコストやミネラルウォーターのような入手の手間もありません。 蛇口をひねればいつでも簡単に、しかも安く手に入ります。

例えば、「あまり頻繁に水を換えない」場合や「一定期間を置き水で」という場合には水道水がベストでしょう。 (もちろん定期的に水を換えてあげるのが理想です。)

水道水に含まれる「塩素」は?

ミネラルウォーターと水道水の一番の違いはやっぱり「塩素」。 塩素によって衛生的に保たれており、塩素によって安全性を担保しているといって過言ではありません。

しかしこの塩素(次亜塩素酸ナトリウム)は、水道水のもととなる「生活排水などに含まれる有機物」と反応し、「トリハロメタン」という発がん性物質を作ります。 そしてこの「トリハロメタン」は塩素のように数分の煮沸で除去することはできず、むしろ沸騰したばかりの状態では通常の3倍ほどに増えてしまうのだとか。

水道水に含まれる「塩素」について、東京都水道局は以下のように回答しています。

質問:塩素による消毒方法は安全なのでしょうか。

回答:塩素は水道水を消毒するために入れるものです。病原菌等に対しては消毒効果がありますが、人に対しては影響はありません。 また、WHO(世界保健機関)の飲料水水質ガイドラインによると、塩素のガイドライン値は5mg/Lとされています。このガイドライン値は、生涯にわたり水を飲んでも人の健康に影響が生じない濃度を表していま> す。 東京都水道局では、残留塩素濃度を水道法で定められている0.1mg/L以上、水質管理目標設定項目の目標値である1mg/L以下を蛇口において常に確保できるように管理しています。

水質 | よくある質問 | 東京都水道局

「トリハロメタン」についてはこちら。

質問:水道水には、トリハロメタンが入っていると聞いたのですが心配ないですか。

回答:川などの水には、植物が枯死し、分解したときにできる腐植質や都市排水などの中にある有機物質が含まれています。水道水をつくる過程で塩素処理を行うと、これらの物質と塩素が反応してトリハロメ> タンができます。東京都の水道水中に含まれるすべてのトリハロメタンの量は、水質基> 準値以下であり安全性に問題はありません。 なお、水質基準は、生涯にわたり連続して摂取しても健康に影響が生じない水準をもって、基準値が設定されています。

水質 | よくある質問 | 東京都水道局

保証されるのはあくまで人間に対しての安全性ですが、かなり配慮されているのがわかります。

煮沸で塩素とトリハロメタンを減少させる

「トリハロメタン」は沸騰したばかりの状態では通常の3倍ほどに増えますが、15分以上煮沸し続ければかなり減少させることができます。 同時に塩素も除去できて安心……とはいきません。

確かに「塩素」も「トリハロメタン」も心配な物質ではありますが、水道水の安全性はこれらによって保証されているのです。 つまり、15分以上沸騰させてこれらを取り除くと、今度は「煮沸させた直後は安全だけど傷みやすい普通の水」になってしまうのです。

安全性重視の水道水がこうなってしまってはもう何のために水道水を選んだのかわかりませんね。

水道水は都道府県別でまったくの別物

水道水の一番の特徴「塩素」については上で触れましたが、に関するコラムでも触れたように、犬たちにとって「ミネラル」の過剰摂取は「結石」の原因となりえるため注意が必要です。

そして、水道水は都道府県別にミネラル保有量にバラつきがあります。

都道府県別ミネラル保有量とWHO分類

都道府県ミネラル保有量分類(WHO基準)
北海道32.818ml軟水
青森県42.684ml軟水
岩手県40.971ml軟水
宮城県28.660ml軟水
秋田県30.284ml軟水
山形県27.801ml軟水
福島県35.090ml軟水
茨城県66.469ml軟水
栃木県50.658ml軟水
群馬県57.343ml軟水
埼玉県75.015ml中硬水
千葉県81.775ml中硬水
東京都65.304ml中硬水
神奈川県61.850ml中硬水
新潟県32.188ml軟水
富山県30.461ml軟水
石川県44.074ml軟水
福井県37.895ml軟水
山梨県53.991ml軟水
長野県47.729ml軟水
岐阜県37.782ml軟水
静岡県52.582ml軟水
愛知県26.476ml軟水
三重県45.649ml軟水
滋賀県45.872ml軟水
京都府42.462ml軟水
大阪府44.084ml軟水
兵庫県48.240ml軟水
奈良県48.847ml軟水
和歌山県53.935ml軟水
鳥取県40.940ml軟水
島根県28.213ml軟水
岡山県47.414ml軟水
広島県28.819ml軟水
山口県40.104ml軟水
徳島県47.779ml軟水
香川県47.423ml軟水
愛媛県58.279ml軟水
高知県43.883ml軟水
福岡県60.815ml中硬水
佐賀県45.307ml軟水
長崎県38.370ml軟水
熊本県70.449ml中硬水
大分県52.337ml軟水
宮崎県39.336ml軟水
鹿児島県48.670ml軟水
沖縄県84.006ml中硬水

ほとんどが比較的ミネラル保有量の少ない「軟水」の中、東京周辺と九州地方の一部に「中硬水」が見られます。 とはいえ、全都道府県中もっともミネラル保有量の高い沖縄や、さらにミネラル保有量の多い「硬水」が中心の欧米諸国でも「犬の結石発症多数!」というようなデータもないため、神経質になりすぎる必要はありません。

犬のための水選びは「塩素」「ミネラル」が鍵

愛犬のための水選びにおいて「水道水」は決して間違いではありません。 長期的な衛生面でみると他の追随を許さず、極めつけの安さと手軽さは比較にもなりません。

すでに結石のできてしまった犬にはおすすめできない点や検査基準があくまで人間基準という点は多少不安でもありますが、ある程度の期間置き水をする場合やしっかりしたミネラルウォーター選びができない場合には「水道水」がおすすめです。

ただしマンション・アパートなどの「貯水槽」には注意を……

日本の水道局のたゆまぬ努力は世界的にみても稀な高水準。 しかし、マンションやアパートなどで「貯水槽」に貯めた水を使ってるお家は少し注意が必要です。 水道局から送られてきた水は清潔でも、貯水槽が不衛生では意味がありません。 こちらは当然水道局ではなく管理会社の管轄となるため、管理会社に電話で確認するしかないのも問題です。

水道法で義務付けられている*有効容量が10トンを超える給水設備「簡易専用水道」*の清掃は年に1度。 動物や昆虫、は虫類が入り込んで死んだままになってしまうケースや、珍しい例ではありますが2013年、兵庫県で地元の高校生が貯水槽に侵入し、友人と泳いでいたとの報道もありました。

マンション・アパートにお住まいの場合、しっかりとした知識を持ってミネラルウォーター(ウォーターサーバー)が選べる場合は断然そちらがおすすめです。

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ペトラ編集部

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