この炭酸泉の効果は犬の美容や皮膚治療にも活用されています。 そもそも炭酸泉とはどのようなお湯なのか? そして、どんな効果があるのか?

今回は「炭酸泉」についてご紹介します。

そもそも炭酸泉とは?

炭酸泉とは、お湯に炭酸ガスが溶け込んだもの。 人工的に二酸化炭素を水に溶け込ませる装置もありますが「天然の炭酸泉」と呼ばれるものも存在していて、「美肌に良いお湯」として注目されています。

一般的に炭酸泉と言われるお湯は、250ppm以上の二酸化炭素含有濃度と言われています。 250ppmとは、1リットルに0.25グラムの割合で二酸化炭素が含まれていることを表しています。 250ppm程度では口に入れても「本当に炭酸?」と感じる程度の弱い炭酸ですが、基準を満たす温泉は「炭酸泉」となります。

身近にある「炭酸」

身近な「炭酸」として、代表的なものでは「炭酸飲料」があります。 そしてなんと、炭酸飲料の二酸化炭素含有濃度は3,000~4,000ppm! これはほぼ二酸化炭素を水に溶かすことのできる限界値で、常温の水だと4000ppm程度ですが、40度近いお湯ともなると含有できる二酸化炭素は更に下がって1000ppm程度が上限。

しかし、これはあくまで数字の上での話。実際はもう少し複雑です。

実は炭酸飲料などは、炭酸が融解しきっていない状態になっていて、「炭酸泉」とは似て非なるもの。 蓋を開けた際や数時間も放置するとすぐに炭酸が抜けてしまうのはそのためです。

実際に血行促進などの効能が得られる炭酸泉は二酸化炭素がしっかりと融解したもの。 炭酸飲料のように「シュワシュワ」とはほとんどならず、手を浸すとキメ細かな泡沫ががびっしりと表面を覆います。 2日程度なら炭酸が抜けないままなのも特徴です。

4000ppm以上の異常な二酸化炭素含有濃度を謳う商品は、恐らく同じパッケージに溶けきらないままの二酸化炭素を入れている、というだけでしょう。 見た目の派手さはありませんが、効果のある炭酸をしっかり見極めましょう。

その他の身近な炭酸では「入浴剤」があります。 固形の入力剤をお湯に入れると泡を吐き出しながら溶けるタイプのものがそうです。 自然界に存在する天然の炭酸泉の二酸化炭素含有量は600ppm程度ですが、この入浴剤にも50~100ppmの二酸化炭素が含まれています。

「炭酸」に期待できる効果とは?

一般的に炭酸水には「血行を促進する」「皮膚や毛穴の汚れを落とす」と、大きく二つの効果があります。 炭酸泉に浸かると毛穴などから二酸化炭素が吸収され、体内で血中の二酸化炭素濃度が上昇することで、ちょっとした酸欠状態になります。

そうすると体内ではより多くの酸素を運ぶため血液の流れが早くなり、その結果として血行が良くなるというわけです。

さらに、炭酸ガスの細かな泡が、皮膚表面や毛穴にこびりついた汚れをきれいに落としてくれます。 通常のお湯で洗うよりも、こびりついた汚れに効くというわけですね。

特に、被毛で皮膚を覆われている犬には炭酸泉のような洗浄力の強いお湯は効果的で、こびりついた細かい毛穴の汚れまで落とせるので「匂い」が軽減されると評判です。 また、皮膚炎の犬は炎症が治まるなどの効果が期待できる場合もあるそうです。

一方で、犬はもともと血行の良い動物であることから、心臓への負担が大きすぎるとの声も。 知識のあるペットサロンでは「胸(心臓)から上は炭酸泉に浸からせない」等の対応を徹底しているそうです。

「炭酸泉」と「マイクロバブル」の違いとは?

ペットサロンでは「炭酸泉」のほかにも「マイクロバブル(マイクロナノバブル)」というメニューも目にしますね。 「マイクロバブル」も「炭酸泉」と同様、皮膚の表面や毛穴の汚れを取り除いてくれると謳っています。

では、「炭酸泉」と「マイクロバブル」、一体何が違うのでしょうか?

「炭酸泉」はお湯などに二酸化炭素が溶け込んだものを指します。 一方、「マイクロバブル」は発泡性とは無関係に「水中に含まれる気泡」を指す言葉。

水中に含まれる空気の量が多ければ多いほど、その小さな気泡が皮膚の汚れを吸着する働きが高くなる、と美容業界で多く用いられるようになったそうです。

つまり「炭酸泉」は「二酸化炭素を使ったマイクロバブル」と言えそうです。

「炭酸泉」にかかる費用とは?

ペットサロンでも、エステメニューとしてよく見られるようになった「炭酸泉」。 人間と同じように「温浴」が主な目的で、血行促進と毛穴よごれの改善による臭いの軽減が主な効能です。

ペットサロンでは一般的に、炭酸泉浴だけで800円~5000円くらいが相場のようです。 ペットサロンや地域によっても価格は異なりますし、当然犬の大きさでも変わってきます。 大型犬になればなるほど大量の水、炭酸が必要となるため価格も高くなるというわけです。

また、自宅でも炭酸泉を利用することは可能で、「入浴剤」のようなお手軽なタイプのものなら数千円ほど。 本格的な炭酸泉を発生させる装置も様々なメーカーで開発が進んでおり、皮膚病などで悩む犬の飼い主さんの中には炭酸泉発生装置を設置されている方もいらっしゃるそうです。 装置の価格は、安いもので25万円位から、高いものでは150万円位するものまで幅広いため、ご予算にあったものを探してみてはいかがでしょうか。

ただ、皮膚炎の状態や種類によっては血行を促進することで余計にかゆみを強くさせてしまう場合もあるようなので、獣医師と相談しながら利用すると良いかもしれません。

Recommended Articlesおすすめの記事