犬を飼育する上で正しい知識を持っていないと時として重大な病気を引き起こしてしまうことがあります。
どんな病気にかかりやすいのか知っておくのはもちろん、知識があると急な病気やケガなどにも対応することができます。
フィラリアとは蚊によって媒介される寄生虫の一種で、主に犬の心臓に寄生します。 初期症状はほとんどなく、進行すると、呼吸が荒くなったり、咳が出たり、腹水の貯留などの症状を起こし、死亡率の高い病気です。
予防方法は、月に1度の内服薬。 犬が蚊に刺されないようにすることは難しいので、必ず内服薬が必要です。 予防期間は蚊が出始めた1か月後から蚊が全くいなくなった1か月後まで、地域差がありますが4月から12月まで必要です。
小型犬や遺伝的に心臓病の多いキャバリアに多い病気で、僧房弁と呼ばれる心臓の弁や腱索に障害が起こり、心臓のポンプとしての機能が損なわれる病気です。
主な症状は「咳」ですが、普通通り食べていても痩せてくる等の症状もあります。
進行すると失神したり、肺に水がたまる肺水腫という危険な状態になってしまいます。
治療としてできるのは、心臓の状態をレントゲンや超音波(エコー)検査で確認し、内服薬で悪化を防ぐことのみで、定期的な検査が必要です。
ダックスフントやコーギーなどの胴が長い犬種に多い病気で、背骨と背骨の間にある軟骨が変形し、脊髄の神経を圧迫してしまうことで症状が出ます。
動きたがらなくなったり、歩き方が変になったり、後ろ足を引きずっていたりするようになり、さらに悪化すると、自力で排泄することもできなくなり、場合によっては「脊髄軟化症」という病気に進行して命に関わる場合もあります。
緊急度の高い病気なので、早期発見・早期治療が必要です。 軽度であれば内服薬で回復することもありますが、手術が必要になる場合もあります。
症状が出た場合はすぐに病院で診察してください。
メスの犬に多い腫瘍で、特徴的な症状として乳腺にしこりが見られます。 悪性(乳がん)の場合には、乳腺付近が赤く腫れたり、痛みを伴ったり、他の臓器に転移することがあります。 最初の発情前に避妊手術を行うことで、発症する確率が低くなります。
避妊手術をおこなえば、乳腺腫瘍のほかにも、卵巣や子宮の病気も予防することができます。 出産を希望しない場合は、早めに避妊手術をすることが予防につながります。
インスリンの不足により血液中の糖分が慢性的に多くなる病気で、飲水量が増える、尿量が多くなる、食欲は増えるがやせてくるなどの症状がみられます。
悪化すると、血液中のケトン体という有害な物質が増加して糖尿病性ケトアシドーシスという状態になり、嘔吐、食欲低下などの症状がみられ、アセトン臭という口臭が出てくるようになります。
そして、さらに進行すると昏睡状態となり生命の危険も。 合併症として、白内障や細菌性の皮膚炎、膀胱炎などを引き起こします。
原因の1つは肥満。
治療はインスリン注射を生涯にわたって続けなければなりません。 糖尿病を予防するには、肥満にならないように注意することが大切です。
暖かくなると皮膚病になる犬が増えます。 毎日毛をかき分けて皮膚の状態を確認する習慣をつけましょう。
細菌や寄生虫、ホルモン異常、免疫異常などいろいろな原因が考えられます。 症状は、脱毛や痒み、皮膚の異常などさまざま。
原因によって治療は違います。 原因を特定するために血液検査が必要なことがあります。
アレルギーなどの免疫疾患は完治するのは難しく、自宅での食餌や生活環境の管理など、長期間治療が必要になることがあります。
腎臓の近くにある「副腎」がトラブルを起こし、「副腎皮質ホルモン」の分泌が過剰な状態になったり、ステロイドを長期間の使用した場合や中高齢の犬に多く起こります。
予防できないので、とにかく早期発見が大切です。
症状は、
など。
悪化すると糖尿病を引き起こしたり、免疫力が低下しているので膀胱炎や皮膚病などにもなりやすくなります。
まず、ホルモン濃度を測定したり、血液検査で原因を調べ、副腎が腫瘍化している場合は手術をしなければなりません。
そのほかにも、これからの暑い季節は熱中症など外的な要因で起こる病気や、白内障や外耳炎などさまざまな病気が起こりえます。 少しでもおかしいと感じられる場合、早めに動物病院へ連れて行きましょう。