そもそも、ペット保険にとりあえず入ったはいいものの、契約内容や保険請求の仕方、どんな場面で使うことがあるのかもわからないという方も多いのが現状です。

ペット保険はどんな場面で必要になるのか、あなたのペットには本当に必要なのかをこれから一緒に考えてみましょう!

ペット保険って何?

そもそも、ペット保険とは何のためにあるのでしょう?

ペット保険を使う場面、それはズバリ「動物が病気になった時、ケガをした時」です。

一緒に暮らしているペットが体調を崩したりケガをすると、人と同じく病院にかかりますよね。 人の医療と違うのは診察の基本料金から、

  • 検査
  • 処置
  • 手術
  • 入院
  • 通院

に至るまで、すべてが保険のきかない全額自己負担であるという点です。 そして、そういった際医療費の一部、もしくは全額を負担してくれるのがペット保険です。

人と動物の保険って何が違う?

現在の日本では「国民皆保険制度」が導入されています。 すべての人が公的医療保険に加入しており、義務教育終了後から70歳までは、自分が3割の医療費を負担することで病院の診察を受けることができます。 後期高齢者医療制度や義務教育開始前だとさらに負担の少ない1~2割の負担で医療を受けられることも。 私たち日本人はこの制度のもと安心して病院にかかることができています。

それに対して、ペットを動物病院に連れて行った場合、今の日本にはペットに関わる公的な医療制度は全くないため、先ほどもお話した通り全額が飼い主さんの負担となります。

さらに、自分の異常を言葉で伝えられない動物の異常を探るには、何度も検査を重ねなければならない場面もあります。

例えば、初めてかかった時の初診料と血液検査だけで1万円。もしもレントゲンや超音波検査などの一般的な画像の検査も含めると、1回につき総額2万円にはなります。 お薬や処置を含めていくと、あっという間に3万円を超えることもざらです。

また、人の病院と違い、各種検査や薬、診察料や手術代金などの費用は、病院独自に価格を決めることができるため、病院ごとに費用に大きな差がある場合も少なくありません。

そして、ペット保険が出番となるのはまさにこういった時です。 5割負担のペット保険に入っていた場合、2万円の診療費のうち、1万円は自己負担、残りの1万円をペット保険会社が負担してくれるため、1回の診療費にかかる費用の負担を減らすことができるのです。

ペット保険にも種類がある

「それならペット保険に入るほうが安心じゃないの?」と思われる飼い主さんもいらっしゃるでしょう。

もちろん、ペット保険は先ほどお話したように、急な高額ペット医療費用をカバーしてくれる役目を持っています。 しかし、ペット保険はすべての診察費用をカバーしてくれるわけではないこと、ペット保険の種類にもいろいろあることを理解しておく必要があります。

ペット保険への加入を検討する時に最低限確認しておきたいことは6つ。

  • 月額 or 年額の保険費用はいくらかかるか
  • 1回あたり何割の負担をしてくれるか、1回あたりの負担額や年間の使用回数の制限はあるか
  • 窓口清算できる保険か or 自分で請求して後日清算する保険か
  • 通院・入院・手術のすべてに対応しているか
  • 保険費用は毎年どのように変わっていくか
  • 保険適応外になる場合は何か

それでは、順番に詳しく見てみましょう。

月々 or 年額の保険費用はいくらかかるか

私たち人の場合も、健康保険料は毎月のお給料から天引きされていたり、自分で毎月、もしくはまとめて払ったりしていますよね。

ペット保険も加入すれば同じく月々の保険料がかかってきます。 それを月ごとに払うか、1年分を一括で払うかは飼い主さん次第ですが、まずは自分の収入と月額・年額を比較してみましょう。

例えば、手取りで30万のお給料をもらっている人であれば、月々3,000円の保険料も年額3万6,000円でそこまでの負担には感じないかもしれませんが、手取りが15万のお給料の飼い主さんだったらどうでしょう。

また、犬種や猫種によって、病気にかかりやすい品種であったり、大型犬などの体格が大きい犬種だったりすると、月々の費用差が開くように設定している場合もあります。 月々6,000円の保険料を支払った場合、年額は7万2,000円になってしまい、決して安くはない費用となります。

さらに、毎月のペット保険費用は掛け捨てです。 いざという時の高額費用請求時には頼りになるのは確かですが、飼い主さん自身の生活の負担にならないかを考えておく必要があります。

1回あたり何割の負担をしてくれるか、負担額や年間の使用回数の制限はあるか

契約したペット保険の種類によって、何割が飼い主さんの自己負担になるかが変わります。

例えば動物病院での診療で3万円の費用がかかった場合、

50パーセントの保険タイプ 1万5,000円を飼い主さんが負担 残りの1万5,000は保険会社が負担

70パーセントの保険タイプ 9,000円を飼い主さんが負担 残りの2万1,000円は保険会社が負担

となります。 ただし、確認しておきたいのが、保険プランによっては保険会社の1日の負担額に上限を設けている場合があることです。

(例)A保険50パーセントプラン、1日の上限負担額1万円までとなっている場合 ペット保険で負担してくれるのは1万円まで(保険会社負担) 飼い主さんが負担する費用は残りの2万円(飼い主さんの自己負担)

と実際には50パーセント未満の補償しか受けられなくなってしまいます。

また、保険の種類によっては、1年間に保険を使用できる回数が決まっているタイプの保険もあります。 年間使用回数が決められている分、費用をやや抑えたプランになっているメリットもありますが、今日使用する・しないという選択を迫られ、いつ保険を使うか頭を悩ませなければいけないといったデメリットもあります。

後で知らなかった!と後悔することのないよう、契約プラン内容をしっかり確認しましょう。

窓口清算できる保険か or 自分で請求して後日清算する保険か

大手のペット保険会社の中には、動物病院でのお会計時にその場で使用できる窓口清算可能な保険もあります。

多くのペット保険は飼い主さんが請求に必要な書類をまとめて、時には獣医さんに記入してもらって……、と手続きを行う必要がありますが、利用した動物病院がその保険に対応している場合、その場で飼い主さんに替わって保険請求手続きを代行してくれます。 意外と面倒な保険請求手続きを省けることは大きなメリットになります。

利用する回数が1か月あたり、1年間あたりに多くなるほど、このメリットを感じやすくなります。

通院・入院・手術のすべてに対応しているか

保険の契約プランによっては月々の保険費用を抑えられるかわりに、通院には対応せず、手術のみ、もしくは手術・入院のみに対応しているプランもあります。 そういったプランは月々の費用を抑えているものも多いので、ペット保険には入りたいけど月々の費用はそんなにかけたくない、もしもの手術や入院の時だけには備えておきたいという時には検討してもいいかもしれません。

保険費用は年齢を重ねるごとにどれくらい変わっていくか

月々の保険料は毎年上がっていくことがほとんどです。 基本的には年齢を重ねたり、前年度にかかった保険請求額によって翌年の保険料額を決めている保険会社が多いのが現状です。 最初は安く設定されているように思えても、10歳、15歳と年齢を重ねた時に継続しやすいかどうかも最初に調べておく必要があります。

保険適応外になる場合は何か

ペット保険は病気やケガで病院にかかった時の診察費用をカバーしてくれますが、ワクチンや避妊・去勢手術などの「予防」にあたるものは保険適応外となり、費用が飼い主さんの全額負担になることがほとんどです。

保険会社によって保険適応外項目は違いますので、契約するペット保険が何に使えて、何に使えないのかをきちんと調べておきましょう。

ペット保険に加入するメリット・デメリット

上記のようなペット保険に加入することを考える時、飼い主さんはペット保険のメリットとデメリットも一緒に考えた上で加入を検討する必要があります。

ペット保険に加入するメリット

  • 急な高額診療費用がかかりがちな動物病院での費用をカバーできる
  • 飼い主さんの費用面に対する心配や不安を和らげることができるため、検査や手術の決断を迫られた時に心理的な負担を減らせる

ペット保険に加入するデメリット

  • 契約する保険タイプ・保険会社によって、保険会社が負担してくれる費用の割合が変わることがある
  • 健康で、病気やケガで病院にかからなかった場合でも、毎月もしくは毎年保険費用を払わなければならない
  • 保険会社ごとに保険適応できない項目があるため、場合によっては飼い主さんが全額負担しなければならない

ペット保険に加入する? 加入しない?

ペット保険が自分のペットに必要かどうかは、自分と、一緒に暮らすペットに合うペット保険があるかどうかによって変わります。

例えば、毎年保険料が上がることを考えず、毎月3,000円の保険料をペットが15歳になるまで支払ったとすると総額なんと54万円。 結構びっくりする数字ですよね。

もしもその子が健康なら、54万円も払うくらいならペット保険なんていらない! と言えるのでしょうが、生涯病院にかからずにいられる場合はほとんどなく、特に年を取ってシニア期に入ると病気の出現する割合はぐっと増えます。

例えば、

  • 3歳で骨折の手術(入院あり/退院後の通院あり)
  • 13歳で心臓病が見つかって2年間通院・入院も重ねながら15歳まで治療

した場合、

骨折手術・入院・退院後の通院・抜ピン/抜プレート手術: 40万 心臓病のための毎月の通院・薬代金: 2万円/1か月 * 24か月 = 48万円 2か月ごとに心臓病のレントゲン・超音波検査: 1万円 * 12回 = 12万円 心臓病に関わる体調悪化時の入院3日×3回: 5万円 * 3回 = 15万 治療費用総額: 115万円

この時、保険加入していなければ全額の115万円が飼い主さんの負担となりますが、ペット保険に加入していた場合、

50パーセント保険タイプ(各種制限なし): 保険差し引き負担額 57万5,000円 + 生涯保険料 54万円 = 111万5,000円 70パーセント保険タイプ(各種制限なし): 保険差し引き負担額 34万5,000円 + 生涯保険料 54万円 = 88万5,000円

となります。

「あれ? 保険に入っていてもいなくても飼い主が負担する費用はあまり変わらないんじゃない?」と思われがちですが、心臓など内臓系の病気では悪化するたびに薬の種類や検査・治療回数が増えることが確実なため、さらに費用がかさみます。 ペット保険に加入しておくことは、飼い主さんにとっての「安心」を確保しておくためのひとつの手段ともいえるでしょう。

ただ、どうしてもそこまでケガ、病気が続くとは思えず踏ん切りがつかない飼い主さんもいるでしょう。

そんな時は、いざという時に困らないように自分でペット用の積み立て貯金をしておきましょう。 毎月5,000円を15年続ければ総額90万円。ある程度のケガや病気であれば十分に治療費を賄うことができます。

ペット保険とは違い掛け捨てではないため、使わなかった分は生活費として利用できます。

自分にペット保険は必要なのか、保険がなくてもいざという時に対応できるのか、自身の暮らしに合わせて考えてみてくださいね。

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