ペット不可物件での飼育……バレたときの退去費用は?

多くの賃貸物件は「ペット不可」とされており、その理由は騒音や臭い、部屋の損傷などさまざま。
では、もしもやむを得ない事情でペットを飼ってしまった場合、そしてそれがバレてしまった場合、どのような問題が発生するでしょうか?
極めて起きてほしくないトラブルですが、今回はあくまで過程のお話としてリスクや費用についてご紹介します。
法的な問題や判例は?
「ペット不可」の物件でペットを飼ったからといって、即座に退去を求められることは基本的にありません。
賃貸借契約において、契約解除には正当な理由が必要とされるため、ペットを飼っていることだけを理由に契約を解除されることは稀でしょう。
ただし、契約内容によっては違約金が発生する可能性があります。
また、近隣住民からのクレームが入った場合や貸主側が「契約違反によって賃貸借契約を継続できない」と判断した場合には、退去を求められることもあります。
判例を見ても、ペットを飼ったことを理由に即座に退去命令が下るケースは少ないですが、損害賠償や原状回復費用を請求された例はあります。
特に、契約書に「ペット禁止」と明記されている場合、そのルールを破ったことによるトラブルは避けられないでしょう。
退去費用の概算
ペットを飼ってしまった場合、退去時に通常のクリーニング費用以上の費用を請求される可能性があります。
特に、以下のようなダメージがあると、原状回復費用が高額になることがあります。
- 壁紙の剥がれや引っかき傷
- フローリングの傷や凹み
- 石膏ボードの損傷
- ドアや建具の破損
- ペット臭の残留
壁紙の張替えは1㎡あたり1,000~1,500円程度が相場のため、部屋全体の壁紙を張り替えると数万円になることも。
フローリングの補修は一部なら数万円、全面張替えなら50万円以上かかることもあります。
また、ペットの臭いが強く残っている場合には、消臭処理費用も発生します。
さらに通常のクリーニングでは落ちない場合、オゾン消臭や特殊清掃が必要になり、その費用は3万~10万円程度になることが多いです。
加えて、契約違反の違約金を請求されるケースもあります。
違約金の金額は物件や契約内容にもよりますが、家賃の1~2ヶ月分程度を請求されるのが一般的です。
どのくらいの費用を準備すべき?
実際の退去費用はケースバイケースですが、ペットによるダメージが明らかな場合、最低でも20万~30万円程度の費用を見積もっておくのが無難かも知れません。
広範囲にわたるダメージがある場合や契約違反による違約金が発生する場合は、50万円以上かかってしまうことも考えられます。
一方、入居前からあった傷や汚れについては、本来借主に負担する義務はありません。
しかし、貸主が「ペットによるもの」と判断した場合、負担を求められる可能性もあります。
入居時に写真を撮っておくなど、証拠を残しておくことが重要です。
ペット不可物件のリスクまとめ
ペット不可物件でペットを飼ってしまうと、退去時に大きな費用がかかる可能性があります。
また、近隣トラブルや契約違反による違約金のリスクもあるため、慎重に対応することが求められます。
万が一ペットを飼ってしまった場合は、退去費用を見越して早めに貯金をしておくと安心です。
- Updated on 2025.03.20
- published on 2025.03.20