• 危険を察知して事前に回避するため
  • 欲求が通らずストレスを発散するため
  • 飼い主を守ろうと必死になっている場合

番犬として飼われる場合は、最初の「危険を察知する」という意味では、むだ吠えではなく、不審者、あるいは自分のテリトリーに入ってきた見知らぬ他人を近づけないためであり、これは当然むだ吠えではありません。反対に、泥棒の中には、餌付けをして犬が吠えるのを防ごうとする人もいるので、外で犬を飼っている方は、充分注意が必要です。基本的に番犬なら、家族以外を吠えるのが、ごく普通と思ってあげましょう。

2番目の「欲求が通らずストレスを発散する」ということですが、このストレスで最も多いのが、毎日の散歩についてです。 犬の健康のためと誤解している方が多いのですが、犬が散歩をしたがるのは、大体が「テリトリーの確認」です。 犬には元々群れで行動するオオカミと同じような行動習性を備えています。

散歩をすることで自分の住んでいる地域に、見知らぬ群れが侵入していないか、電柱やいたるところにおしっこをかけたり、匂いを嗅いだりするのはその表れです。 従って犬の散歩は飼い主さん主導ではありません。リードを引っ張るにしても、必ずふた呼吸はおいて、犬がある程度気が済むまでその「確認作業」を優しく見守ってあげましょう。

最後の「飼い主を守ろうと必死になっているケースですが、これは番犬である犬の習性といいますか、犬の意識の中には「人間と自分」という腫の区別は一切なく、自分にとって必要かどうか、自分が好むか好まないかで判断しています。

あなたが飼い主であるなら、このどちらかに値する存在と考えてください。

つまりは飼い主さんは群れのトップであるということです。

これは家族全員にはなりません。 また面白いことに毎日ごはんをあげるから飼い主になれるわけでもありません。

犬は自分の存在はどの位置に当たるか正確に察知して行動していると言われます。 「遊び相手」、「食事をもらう人」、「指示をしてくれる人」というふうにです。

犬にとっては人間は自分との関わりをきちんと区別して行動しています。 同じ家族の方でも、よく散歩に連れて行く人と、食事を与える人が同じ場合以外は、ほとんどの家庭で明確に区別していますね。

群れの仲間は役割を持っている

「遊び相手」、「食事をもらう人」、「指示をしてくれる人」は自分のテリトリーの中にいる、群れの仲間です。 この群れを脅かす存在なら必ず犬は吠えて危険を回避しようとします。

この時間違ったしつけが「叱ること」で、まずうまくいくことはありません。 叱るということは、犬にとっては「自分を否定されること」につながります。

このあたりが、行動と言葉をきちんと連結するしつけのコツでもあります。

まず、叱る前に犬に寄り添い、頭を撫でて吠えたことを言葉に出さず褒めてあげてください。

シーズーなどの小型犬なら、抱き上げて撫でてあげるのも効果的です。 大型犬なら、横にしゃがんで顔を見ながら撫でてあげましょう。

犬は自分の行動を認めてくれることがわかれば、精神的に落ち着くものです。 興奮を抑えるには叱ることよりも「褒める」ことが大切。

犬の行動にはきちんと意味があるのです。

こうして飼い主さんときちんと信頼関係が出来上がれば、飼い主が楽しそうに話している相手は「危険な相手じゃない」と飼い主さんの顔を見て判断するようになります。つまり、犬にとってむだ吠えは存在しないんです。

ペットショップへ出かけると、売り場に「口輪」という商品が陳列してあると思います。 ナイロン製だったり、柔らかいプラスチックなどの口を抑えるマスクのような商品です。 こうした口輪は、訓練用のものなんですが、ショップによっては「むだ吠え防止に」とPOPが貼られていることがあります。

これはマンションなどで不在時、郵便局や宅配が通路を通る度に吠えるため、大型犬など、近所迷惑にならないようつけることがよくあります。 本来は1歳以降で訓練を受けていない犬の場合は、所構わず「危険を回避するために」人ごみでずっと吠えてしまうため、訓練のために装着する道具がマズルです。 従って、常に装着しなければならない道具ではありませんし、犬はロボットではありませんから、本来は「愛情」あるしつけで、優しくいたわり興奮を抑えてあげることが大切なんですね。

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