まず大型犬を飼われている方は、やはり散歩で苦労しますから、並んで車道の反対側を常に歩くよう、キチンとしたプロの訓練士やトレーナーを考慮に入れますが、ワンちゃんのしつけというのは、実は訓練といっても人間のトレーニングとはかなり趣が違うんです。

和犬の代表である柴犬、秋田犬、甲斐犬もそうですが、人間と同じで「叩いて覚える」ということは、まず絶対にありません。 この部分だけは、洋犬も和犬も全く同じです。

しかし、特に大型の洋犬、ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバー、バーニーズマウンテンなどは、しつけ=遊びという感覚を持っています。 この辺りが、訓練では結構苦労するそうで、並行に歩かせるのが一番大変なんだそうですね。

それともう一つは、ジャーマンシェパード(通常シェパードと言われる犬種)、ボクサー、ノーマルプードル(トイプードルの原種)などは、元は狩りや救助で使用された犬種でもあるので、本当に言うことを素直に従うのは、家族の中の1人だけと言われます。 この場合でも、しつけは犬にとっては数ある遊びの中の1つに過ぎません。

余談ですが、オスなら女性、メスなら男性をよく好むのは本能なのか、遊び相手は大抵人間の異性が多いですね。 和犬は、遊びという感覚よりも、かつての野生の血が濃いのか、群れのリーダーとして家族の誰かに従うという傾向が強いです。 だから中型犬以下でも番犬として長く飼われてきたのかもしれませんね。

しつけを教えるのではなく、「従うと楽しいことが待っている」と学ばせることがとても重要。

これは、犬に限らず芸を覚える動物では大体言える法則です。

犬の場合は、成犬で人間の3歳児程度の知能はあると言われていますが、実際は感覚的にはもっと鋭く人間の気持ちを察します。 トレーナーの訓練が終わって、自宅でずっと一緒にいる場合でも、「しつけは必要なんだ」と思われる飼い主さんが多いのですが、基本的にワンちゃんは「遊びながら覚える」のが基本です。

例えば、家の中でテーブルに乗っかったり、走り回って物を壊したりした場合などは、声や暴力よりもっと効果があるの”目”を見つめたまま静かに怒られることです。 相手の瞳をよく見るワンちゃんは、よく「素養がある」と言われ、盲導犬でもここが良い犬になるかどうかの分かれ目なんだそうですね。

大体これで、しばらくシュンとするので、お散歩の時間などで途中たっぷり遊んであげると、この「遊び」との落差がワンちゃんにとっては、記憶に留まるようです。 怒って、しばらくほっとかれて、時間が経過すると楽しいことがあるんですから、我慢すべき時は我慢するようになります。

この時間が足りないと、区別なくかまってもらえるんだと勘違いしちゃうんですね。

お散歩で帰ってきた時も、今日はよく言うこと聞いたなぁと思ったら、鎖につなぐ前に全身を撫でて、声に出して褒めてあげると良いですよ。

感触と声で、気持ちがいいということは動物はよく記憶できるんです。 声だけでは少し足りないですね。

ワンちゃんは、言葉の強弱はなんとなく理解できますが、言葉の意味を脳だけでは捉えることはできません。 カラダの感触、体温など、そうした有機的でメンタルな部分を強く心に残すものです。

怒る声も、決して大声で言わなくても犬は聴覚も優れていますから、必ず正面を見つめ、犬が目をそらしたら両手でグイっと正面を向かせて”静かに言い聞かせる”。 これがまず基本です。

そして、ある程度の時間はそっとしておいてあげること。

しつけといっても、結構簡単なことではありませんか?

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